アクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは、障害者や高齢者など心身の機能に制約のある人でも、ウェブで提供されている情報やサービスを問題なく利用できることです。情報バリアフリーとも言われます。

ウェブアクセシビリティの必要性

現在はインターネットの社会基盤としての重要性が高まり、ICTを活用して提供される各種サービスがますます充実しています。それに伴い、それらのサービスが利用できない場合の不利益も深刻となり、障がい者や高齢者も含めたあらゆる人々がそれらのサービスを利用できることが重要な課題となっているのです。
つまり、便利な技術を追い求めて実現してきた反面、「それを使えない人のことは考えてこなかったこと」がデジタルデバイド(情報格差)として社会問題となっているのです。

全盲の人が、パソコンを自由に操りホームページをみていることをご存知でしょうか。
手や体を自由に動かせない人が、補助器具を利用することでパソコンを使いこなしていることを知っていますか?
視覚と聴覚両方に障害がある人でも、点字ディスプレイを使いホームページを見ることができるのです。

障害者にとって、ホームページとは社会の情報を知ることができる重要なコンテンツなのです。ところが今のホームページは、障害者が利用することを考えてつくられていないものが多いのです。障害者にとって見やすいホームページにするには、少しの配慮が必要です。その少しの配慮をするだけで、障害者が欲しい情報を得ることができるのです。

年を重ねれば、視力もだんだん落ちてくるでしょう。手の自由もだんだん利かなくなってきます。高齢化社会に向かっている今、その少しの配慮が多くの人にとって有益になることは間違いありません。

どんな配慮をすればいいか。

以下に一例を示します。

文字の大きさを変更できるようにする。

小さな文字が見えない人がいます。文字を拡大できる機能が必要です。 逆に視野が狭い人は、大きな文字より小さい文字の方が見やすいことがあります。

画像や音声、動画などを使用するときは、代替用の文章を用意する。

視覚に障害がある人の多くは、音声読み上げソフトを使用しています。画像や動画は、音声で読み上げることができないため、代わりとなる文章を用意する必要があります。音声を聞き取れない人でも、動画に字幕を表示したり、音声の内容を文章で表示することで理解することができます。

分かりやすい言葉を使用し、人名や地名などで難しい文字を使うときは読み仮名をつける。

音声読み上げソフトで読み上げ易いような配慮が必要です。視覚に障害がない人でも、専門用語や一般的ではないカタカナ用語などは、理解ができない場合があります。

リンクの場所は分かりやすく、範囲を大きくとる。

リンクに下線を引いたり、文字色を変えたりするとリンクの場所がわかりやすくなります。四肢まひがある人などは、小さいボタンやリンクにマウスを持っていくことが難しい時があります。リンク範囲を大きくとったり、大きいボタンを使ったりする配慮が必要です。

連絡先には、電話番号、FAX番号、メールアドレスなど、いろいろな手段で連絡が取れるように記載する。

聴覚障害や言語障害の人は、電話が苦手です。FAX番号やメールアドレスがわかると便利です。視覚障害の人には、電話番号が必要です。

地図は、イラストとは別に、駅からの道順など文章でもわかるような説明もつける。

視覚障害の人は、地図が読めません。音声で読み上げることができるようにテキストでの説明が必要です。

ウェブアクセシビリティの規格

WCAG2.0(Web Content Accessibility Guidelines 2.0 )

ウェブコンテンツのアクセシビリティに関するガイドライン

2008年12月に公開。
ウェブコンテンツを障害者にとってよりアクセシブルにするための国際規格です。

JIS(日本工業規格)

JIS X 8341-3 高齢者・障害者等配慮設計指針
- 情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス
- 第3部:ウェブコンテンツ

国際規格の「ISO/IECガイド71」に基づいて、分野ごとにセクター指針が制定されました。そのうちの「第3部のウェブコンテンツ」は、主に高齢者や障害者が、ウェブコンテンツを利用する際のアクセシビリティを確保し、それを向上させるために、ウェブコンテンツの企画、設計、開発、制作、保守及び運用にわたってウェブコンテンツの提供者及び制作者が配慮しなければならない事項について規定するものです。

国連での障害者権利条約

障害のある人の基本的人権を促進・保護すること、固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする国際的原則。

2006年12月に国連で採択。(2014年6月現在 158ヶ国が署名、147ヶ国が批准。)

第9条 アクセシビリティ
「障害のある人が、他の者との平等を基礎として、都市及び農村双方において、物理的環境、輸送機関、情報通信(情報通信機器及び情報通信システムを含む)、並びに公衆に開かれまたは提供される他の設備及びサービスにアクセスすることを確保するための適切な措置をとる」

 障害者権利条約における日本の動向

2007年9月 障害者権利条約に署名。(署名とは、条約を将来批准する意思があることの表明)

2014年1月20日に批准。2014年2月19日から効力を生ずることになりました。

つまり、アクセシビリティなホームページをつくることが、政府・公共団体・企業の責任となったのです。

 アクセシビリティの世界的な動向

以下に各国の具体的な動向を示します。

韓国

IT先進国とされる韓国では、2008年の4月にアクセシビリティ対応を義務付ける法律が施行されました。

2009年4月までに、公共機関、医療機関、福祉施設、従業員300人以上の企業のウェブサイトはアクセシビリティー対応を順守するよう義務付けられ、違反行為があった場合、3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金が科されます。

それ以外のサイトについても、5年以内に対応することが求められています。

アメリカ

2001年6月に、アメリカのすべての連邦機関に、リハビリテーション法第508条を遵守したアクセシブルなウェブサイトを提供することが義務付けられました。

リハビリテーション法第508条
連邦政府が調達、使用する製品や、一般市民に提供する情報、サービスに対して、障害を持つ政府職員・一般市民が、障害を持たない人と同等にアクセスできるようにすること。

現在では、アクセシビリティでないネットショップサイトが訴訟を起こされるなど、賠償問題にも至っています。

EU(欧州連合)

EUは、1994年にはすでに、ウェブアクセシビリティの重要性を認識し活動プロジェクトを推進していました。2000年には、eEurope行動計画2002を採択し、その中で、次のことを強調しています。

加盟国と欧州の関係機関における公共ウェブサイトとそのコンテンツは、障害を持つ市民が情報にアクセスでき、電子政府が提供する機能を完全に利用できることを保証するために、アクセシブルに設計されなければならない

また2002年6月に欧州議会は、公共Webサイトには、WCAGが導入されなくてはいけないと宣言しました。

オーストラリア

オーストラリア障害者差別禁止法(DDA 1992年)では、ウェブページを作成したり、サーバ上にウェブページを置いたり、更新したりしているあらゆる個人や組織には、障害のある人にも平等に情報にアクセスできることを保障する障害差別撤廃法が適応されることが記されています。

2000年6月から全ての連邦政府のウェブサイトはアクセシビリティ点検を行い、新しいサイトの契約をする時はアクセシビリティを主な達成目標に入れること、そして、12月からは全てのウェブサイトは、WCAGのガイドラインに従うことが義務づけられました。

カナダ

2000年5月、カナダ政府は、すべての連邦政府組織に対し、WCAGの優先度1と2のチェックポイントに適合することを求める政策を決定。

オンタリオ州では、2005年6月に「障害者アクセシビリティ法」の施行を開始し、公共団体と民間企業の両方にアクセシブルなウェブサイトの提供を求めています。